水虫に悩んでいるけれど、自分の症状がどの種類なのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
実は水虫には複数の種類があり、それぞれ症状や治療法が異なります。日本では約2,500万人が足白癬(足の水虫)に、約1,200万人が爪白癬(爪の水虫)に罹患していると推計されており、まさに国民病とも言える身近な疾患です。
この記事では、水虫の種類とそれぞれの特徴、適切な治療法について詳しく解説します。正しい知識を身につけて、効果的な水虫対策を始めましょう。
目次
水虫の種類と基本的な分類方法
水虫は医学的には「白癬(はくせん)」と呼ばれ、白癬菌というカビの一種が皮膚に感染することで発症します。
白癬菌は高温多湿な環境を好み、皮膚の角質層に含まれるケラチンを栄養源として増殖します。感染する部位によって異なる名称で分類され、それぞれ特徴的な症状を示します。
部位別による水虫の種類
水虫は感染部位により以下のように分類されます。
- 足白癬(足の水虫):白癬全体の約65%を占める最も頻度の高いタイプ
- 爪白癬(爪の水虫):爪に感染するタイプ
- 手白癬(手の水虫):手のひらに発症するまれなタイプ
- 体部白癬(ぜにたむし):体幹や四肢に発症するタイプ
- 股部白癬(いんきんたむし):股間周辺に発症するタイプ
- 頭部白癬(しらくも):頭皮に発症するタイプ
最新の疫学調査によると、日本人の足白癬有病率は21.6%、爪白癬は10.0%となっており、5人に1人が足白癬に、10人に1人が爪白癬に罹患していることが判明しています。
足の水虫の種類と症状の特徴
足白癬は症状の特徴により、趾間型、小水疱型、角質増殖型の3つのタイプに分類されます。
趾間型(しかんがた)水虫の種類と特徴
趾間型は足の指の間に発症する最も一般的な水虫の種類です。
主な症状
- 足の指の間(特に第4趾間)が白くふやける
- 皮膚がジュクジュクと湿った状態になる
- 皮がむける
- かゆみを伴うことが多い
- 症状が進行すると亀裂やただれが生じる
趾間型は全足白癬の中で最も頻度が高く、特に蒸れやすい靴を長時間履く人や、足の指の間を十分に乾燥させない人に多く見られます。
小水疱型(しょうすいほうがた)水虫の種類と症状
小水疱型は足の裏や側面に小さな水ぶくれができる水虫の種類です。
主な症状
- 足の裏、土踏まず、足の縁に小さな水疱が多発
- 水疱のサイズは通常2~3mm程度
- 強いかゆみを伴う
- 水疱が破れると皮がむける
- 梅雨時期に悪化しやすい
小水疱型は季節変動が特徴的で、湿度の高い梅雨から夏にかけて症状が悪化し、秋冬には自然と軽快することが多い水虫の種類です。
角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)水虫の種類
角質増殖型は足の裏全体、特にかかと部分の角質が厚くなる水虫の種類です。
主な症状
- 足の裏の皮膚が厚くなり硬化
- 表面がザラザラして白い粉をふいたような状態
- ひび割れが生じることがある
- かゆみはほとんどない
- 季節変動が少ない
角質増殖型は症状が目立ちにくく、加齢による皮膚の変化と間違われやすい水虫の種類です。そのため治療が遅れがちですが、放置すると他の部位への感染源となる可能性があります。
爪水虫(爪白癬)の種類と症状
爪白癬は爪に白癬菌が感染する水虫の種類で、足白癬から二次的に発症することが多い疾患です。
爪白癬の主な症状と種類
初期症状
- 爪の色が白~黄色に変色
- 爪が厚くなる
- 爪に白い筋ができる
進行した症状
- 爪が黄褐色に変色
- 爪がボロボロと崩れる
- 爪の変形
- 爪が皮膚に食い込んで痛みを生じる
爪白癬は自覚症状が少なく、発見が遅れやすい水虫の種類です。しかし、放置すると足白癬の再発源となり、歩行にも影響を及ぼすため、積極的な治療が必要です。
爪白癬の感染タイプ
爪白癬には感染部位により以下の種類があります。
- 遠位側縁爪下型(DLSO):つま先側から感染するタイプ
- 近位爪下型(PSO):爪の根元から感染するタイプ
- 表在性白色型(SWO):爪の表面に感染するタイプ
- 全爪甲ジストロフィー型:爪全体が破壊されるタイプ
体部白癬とその他の水虫の種類
体部白癬は足以外の体幹や四肢に発症する水虫の種類です。
体部白癬(ぜにたむし・たむし)の種類と特徴
体部白癬は全身のうぶ毛が生えている皮膚に発症する水虫の種類で、「ぜにたむし」や「たむし」とも呼ばれます。
主な症状
- 円形または楕円形の赤い湿疹
- 境界が明瞭で中央部が治癒傾向を示す
- 強いかゆみを伴う
- 徐々に外側に拡大する
その他の水虫の種類
股部白癬(いんきんたむし)
- 股間、臀部、鼠径部に発症
- 男性に多い水虫の種類
- 高温多湿な環境で悪化
頭部白癬(しらくも)
- 頭皮に発症する水虫の種類
- 大量のフケ
- 毛髪の脱落
- 炎症反応を伴うことがある
手白癬(手の水虫)
- 手のひらに発症するまれな水虫の種類
- 角質増殖型が多い
- 手荒れと間違われやすい
水虫の種類に応じた治療法
水虫の治療は種類により適切な方法が異なります。
外用薬による治療
適応となる水虫の種類
- 足白癬(全タイプ)
- 体部白癬
- 股部白癬
- 軽度の手白癬
主な外用抗真菌薬の種類
系統 | 一般名 | 特徴 |
---|---|---|
イミダゾール系 | ルリコナゾール、ラノコナゾール | 抗真菌作用が強い |
アリルアミン系 | テルビナフィン | 真菌の細胞膜を破壊 |
ベンジルアミン系 | ブテナフィン | 浸透性に優れる |
内服薬による治療
適応となる水虫の種類
- 爪白癬
- 頭部白癬
- 角質増殖型足白癬
- 広範囲の体部白癬
主な内服抗真菌薬
- テルビナフィン(ラミシール)
- ホスラブコナゾール(ネイリン)
- イトラコナゾール(イトリゾール)
治療期間の目安
水虫の種類別治療期間は以下の通りです。
- 趾間型足白癬:2ヶ月以上
- 小水疱型足白癬:3ヶ月以上
- 角質増殖型足白癬:6ヶ月以上
- 爪白癬:6ヶ月~1年以上
水虫の種類別予防対策
水虫の予防は種類に関わらず、以下の基本原則が重要です。
日常生活での予防法
足の清潔と乾燥
- 毎日石鹸で足を洗う
- 指の間まで丁寧に洗浄
- 洗浄後は十分に乾燥させる
- 清潔な靴下を着用
環境対策
- 通気性の良い靴を選ぶ
- 同じ靴を連日履かない
- 家庭内でのタオル、バスマットの共用を避ける
- 公共施設利用後は足を洗う
再発防止のポイント
水虫は再発しやすい疾患のため、以下の点に注意が必要です。
- 症状改善後も治療を継続する
- 定期的な皮膚科受診
- 家族間での感染予防
- 生活習慣の改善
まとめ:水虫の種類を理解して適切な対策を
水虫には多くの種類があり、それぞれ異なる症状と治療法があることをご理解いただけたでしょうか。
足白癬だけでも趾間型、小水疱型、角質増殖型に分かれ、さらに爪白癬、体部白癬など様々な種類が存在します。日本では足白癬約2,500万人、爪白癬約1,200万人が罹患している(ただし、両方を併発している患者も存在する)現状を考慮すると、正しい知識と適切な対策が不可欠です。
最も重要なのは、自己判断せずに皮膚科専門医による正確な診断を受けることです。水虫と似た症状を示す他の皮膚疾患も多く、間違った治療を続けると症状が悪化する可能性があります。
早期発見・早期治療により、水虫は完治可能な疾患です。気になる症状がある場合は、まず皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。