「調香師」になるにはどうしたらいいの?資格はあるの?

感性を生かし、香りのスペシャリストとして数々の名香を生み出していく「調香師」。日本ではあまり大々的に取り上げられることの少ない職業ですが、本場フランスでは名門校も存在する憧れの職業です。世界の有名調香師や、調香師になるための方法についてご紹介します。

2024年03月01日更新

香水/フレグランス

Felice編集部

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調香師になるには?

調香師になるために必須な資格や学歴はありません

日本で調香師を目指す場合は大学の理系学部か調香を学べる専門学校に行き、企業で調香の仕事をするという流れが王道です。

調香師の国家試験はありませんが、民間の試験で「日本調香技術師検定」があるので興味がある方は一度受験してみるのもおすすめですよ。

またフレーバリストではなく、パヒューマーを目指すのであれば、海外への留学も検討したほうが良いでしょう。

調香師の資格はある?

調香師の国家資格はありません。民間の資格では「日本調香技術師検定」という日本調香技術師検定協会主催の資格で、試験に合格すると資格取得できるものがあります。

また資格ではありませんが、フランスには「ル・ネ」という称号があります。「ネ」とはフランス語で「鼻」という意味で、その称号を持つ人は世界に400名前後しかおらず、極めて高い能力を持った調香師に与えられます。

調香師の年収は?

調香師の年収は、その就職先のメーカーや香料会社によります。大手の化粧品メーカー勤務で、平均年収700万円前後です。大手企業に勤めれば一般的な専門職の社員と同程度の収入となるでしょう。

調香師とは?

調香師とは?

調香師とは、化粧品や、フレグランスの香りを調合する職業です。数千種類にも及ぶ香料を組み合わせ、クライアントや、自らの求める新しい香りを生み出し、消費者に届けるのが仕事です。

調香師と言うと香水やフレグランスを生み出す人を思い浮かべがちですが、その他にも、化粧品、シャンプー、芳香剤、入浴剤、食器用洗剤や洗濯洗剤、柔軟剤など、その調香師の所属するメーカーによって、扱う商材は多岐にわたります。

特に香水、フレグランスを調合する人を「パフューマー」と呼びます。

また、香料を制作する企業や食品メーカーなどで、食料品やガムなど口に入るものの香料を調合する人は、「フレーバリスト」と呼ばれます。

フレーバーリストは、加工食品でリアルな味を表現するための香りや、食欲をそそるための香りをつくるほか、薬やタバコなどの香りも調合します。

それぞれのメーカーの商材により、扱う食品は異なり、多岐に渡っています。

流通している食品の多くに香料は使われているので、日本においてはパフューマーよりもフレーバリストの方が活躍の場が多くなっています

調香師は、自分の感性を磨き、人間の五感の一つである嗅覚を研ぎ澄ませて、人々に心地よい香りを届けたり、美味しさを伝えたりできる、魅力ある職業と言えるでしょう。

有名な調香師は?

世界には名香とよばれるような香水を生み出す、有名なパフューマーが存在します。その中でも世界三大調香師とよばれる三名をご紹介します。

●ジャック・キャバリエ

調香界のモーツァルトと呼ばれるのがジャック・キャバリエです。1962年、香水の一大産地であるフランス・グラースで調香師の家に生まれたキャバリエ。

母親も香料のブレンダーで、幼い頃から両親の仕事を手伝い、調香の基礎を叩き込まれたと言われています。

1990年、世界二大香料メーカーの一つであるスイスのフィルメニッヒ(Firmenich)社に勤め、以来22年もの間、数々の有名ブランドの香水を調香しました。

中でもイッセイミヤケの「ロードゥイッセイ」を代表とするオゾンノートの創造は、彼の大きな功績です。

キャバリエ自身、ジョルジオ・アルマーニの「アクアディジオ」とともに「ロードゥイッセイ」を代表作としてあげています。

そのほかにもブルガリの「アクア・プールオム」、資生堂の「ヴォカリーズ」、カルバン・クラインの「エタニティモーメント」など、数々の傑作を生み出しています。

●ソフィア・グロスマン

香水界の女帝の名を馳せているのがソフィア・グロスマンです。1945年、当時はソ連統治時代のベラルーシに生まれ、移民となってニューヨークに渡り、調香師であるジョセフィン・カタパノに見出され、才能を開花しました。

一度は共産圏からの移民ということで入社も認められなかったアメリカのインターナショナル・フレーバー・アンド・フレグランス社(IFF)に入社。

イヴ・サンローランの「パリ」を始め、カルバン・クラインの「エタニティ」、ランコム「トレゾァ」など女性らしい感性で名香を生み出しました。

中でもランコムの「トレゾァ」はグロスマン本人が一番プライベート用に調香したものをベースとしており、至高の名作と呼べる逸品になっています。

●ジャック・ポルジュ

シャネルの三代目専属調香師として、世界三大調香師に名を連ねるのがジャック・ポルジュです。

現在は彼の息子、オリヴィエ・ポルジュがシャネルの四代目専属調香師をつとめています。ジャック・ポルジュ氏の名作は数あれど、まず名前に上がるのがシャネルの「COCO」です。

シャネルの創業者であるココ・シャネルのアパートメントを初めて訪れたジャック・ポルジュはそのエキゾチックなものから年代の異なるオブジェなど様々なものを受け入れる部屋にいたく感銘を受けたといいます。

シャネルの調香師、初めての試みとして、その多面性を表現するためフェミニンなフレグランスを創作し、彼女に贈ったという逸話が残されています。

日本人の調香師は?

世界では日本人の調香師も活躍しています。2人の日本人調香師をご紹介します。

●新間美也

27歳でフランスに渡り、現地の調香師養成校「サンキエームサンス」を卒業。

自身の調香した香水をパリの高級デパート「ボン・マルシェ」へ売り込み、販売を開始、その後順調に口コミとメディアの評価により徐々にファンを増やして行きました。

彼女のつくるブランド「Miya Shinma Parfums(ミヤ シンマ パルファン)」の香水はニッチであり、日本の花鳥風月を取り入れた和の要素が感じられる香りがヨーロッパで受け入れられ、近年では日本でも販売されています。

●石坂将

ミスターフレグランスの異名を持つ石坂将さんは、イギリスのLancaster 大学大学院で修士課程を終えた後、フレグランス業界に入り、2010年にはプロデュースした商品が日本フレグランス大賞を受賞するなど、華々しい功績をお持ちです。

現在ではオリジナルのフレグランスブランド「レイヤードフレグランス」の企画開発のほか、有名スポーツ選手や、ブランドなどとコラボレーションし、プロデュース商品などを手がけています。

調香を学べる学校は?

調香を専門的に学べる学校は日本だと化学・薬学系大学の他、一部専門学校があります。

しかし、海外で活躍するようなパフューマーになるには理系大学を出た後、さらに本場フランスに留学するのが一番調香を専門的に学ぶ方法になります。(いずれも2018年8月時点での情報です)

東京農業大学


出典 東京農業大学

東京農業大学は日本初の私立の農学校であり、日本有数の農業専門大学です。東京農業大学のオホーツクキャンパスには、食香粧化学科という食料品と化粧品の製造を基礎から学べる学科があります。

主な就職先も食品メーカーや、化学工業系のメーカーへの就職が多くなっているので、調香の基礎を学び、就職後、その知識を活かすといったことができそうです。

日本フレーバー・フレグランス学院


出典 日本フレーバー・フレグランス学院

日本フレーバー・フレグランス学院は、食べ物の美味しさであるフレーバーや、香料、フレグランスについて学べる専門学校です。

フレーバー・フレグランス学科という専門課程のほか、フレーバー専攻・フレグランス専攻という午後から学べるビジネス課程、短期間で学べる入門コースを置いています。

フレーバー・フレグランス学科を卒業後、香料メーカーへ就職する学生が多くいます。

アトリエ・アローム&パルファン・パリ


出典 アトリエ・アローム&パルファン・パリ

「アトリエ・アローム&パルファン・パリ」は、パリを本拠地とする香りのメゾンです。

日本人調香師である新間美也が運営しており、通信講座のほか、アトリエに通学してフレグランスを学ぶシステムになっています。

本場フランスのカリキュラムと香料を使用し学ぶことができ、本場の香りを感じられるのは良いですね。

フランスへ留学する

より調香について深く学びたい場合には、フランスへ留学するのが良いでしょう。有名なフランスの調香学校をご紹介します

●L’Institut Superieur International du Parfum, de la Cosmetique et de l’Aromatique alimentaire (ISIPCA)


出典 ISIPCA

ISIPCAはフランス、ベルサイユにある調香師学校の名門で、入学条件も大学での化学の履修が必須など厳しいものになっています。世界的なパフューマーを多く輩出しており、入学競争も、相当厳しいものになっています。

●Cinquieme Sens


出典 CINQUIEME SENS

フランス、パリにある人気の調香師専門学校で、新間美也さんの出身校です。こちらの専門学校で世界的に有名な香水ブランドの社員研修が行われているとも言われています。

英語かフランス語は必須になりますが短期コースも設けられていますので、フランス滞在中に香水について学ぶ、といった経験もできます。

●GIP(Grasse Institute of Perfumery)


出典 Grasse Institute of Perfumery

フランスの香水の一大産地、グラースにある調香師専門学校です。香料・フレグランスを専門的に学べる環境が整っており、周りも香料工場など、香りに関する企業が多く存在しているので、調香を学ぶには最適な学校です。

パフューマー養成コースには短期コースもあるので、短期留学しかできない場合でも対応することができます。

調香師のよくある質問

質問

私たちの生活に彩りを添える香りを生み出す「調香師」。その仕事内容は多くの人を魅了し、近年注目を集めています。

しかし、調香師の仕事内容や具体的な道筋、必要なスキルなど、まだ知られていないことも多いのが現状です。

そこでここからは、調香師を目指す方や、その仕事内容に興味を持っている方に向けて、よくある質問をまとめて回答していきます。

調香師に向いている人は?

調香師に向いている人は香りものが好きで嗅覚が敏感な人です。

大前提として、調香師は微細な香りの違いも分かり、覚えるスキルが必要ですので、嗅覚に敏感でなければなりません。

また、調香という仕事柄、実験や新しいことに挑戦するのが好きな人も調香師に向いていると言えます。

調香師になるには何年かかる?

学校卒業後、一般の企業に就職した場合、一人前の調香師になるためには5~10年かかると言われています。

長く感じるかもしれませんが、膨大な種類の香料の嗅ぎ分けや、組み合わせ、調合のやり方を学ぶので、数年で一人前になるのは難しい業界でしょう。

中には、勉強のために調香の本場である海外へ行く方もいます。

調香師はどこで働く?

調香師は一般的に化粧品会社、香料会社、食品会社などで働いています。

アロマショップで働く方やフリーランスとして活躍している方もいらっしゃいます。

香りは私達の日常をより華やかにしてくれるものであり、今後も需要は拡大してくと考えられています。

一般的に調香師が必要な企業は上記の通りですが、これから働き方の幅が増えるかもしれません。

好きな香水の調香師を知って、香水への興味をもっと広げよう

専門知識が必要で、なるには大変な努力が必要な職業である調香師。自分の手の中で香りを作り出すことができるのはやはり魅力的ですよね。まずは好きな香水の調香師を調べて、香水への興味をもっと広げてみましょう。

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